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在留資格「経営・管理」の事業所要件と転貸借
Q. 在留資格「経営・管理」の事業所要件を、転貸借の事務所で満たすことができるか
A. 転貸借でも可能です。ただし、所有者・貸主から承諾書面をもらえるかどうかで、在留申請における有利・不利が変わります。それは行政手続面で、また民事面でも、それぞれの問題を検討しバランスを取ることが必要です。
入管申請など在留・行政手続における転貸借事務所
多くの賃貸借契約書では、「また貸し」のような転貸借や他者への使用について、貸主の承諾ないし所有者の承諾がないと解除事由になると記載されています。このような契約条項がある場合、安定性の観点から使用承諾書などの権限書面を所有者から取得することが望ましいです。
転貸借事務所を利用する際の注意点
転貸借事務所を利用する際には、以下の点に注意する必要があります:
貸主の承諾取得:
転貸借契約を締結する前に、必ず貸主の承諾を得ることが重要です。承諾を得ていない場合、契約違反となり、事務所の使用が不安定になる可能性があります。
契約書の明確化:
転貸借契約書は、使用条件や賃料の支払い方法、解約条件などを明確に記載し、双方の合意を得ることが重要です。これにより、後々のトラブルを防ぐことができます。
事業内容の確認:
転貸借における事業内容が申請内容に適合することを確認するために、行政書士などの専門家に相談することを推奨します。範囲外の転貸借は、民事面でも後に承諾範囲外として問題となる可能性があります。もちろん、行政手続面で、申請が不利になることもあります。
転貸借等の法的な有効・無効
民法では、債権は複数発生させることが可能で、所有権などの物権と異なります。したがって、転貸借は解除事由になるものの、その存在自体は有効です。つまり、転貸借による転借人との権利関係は生じます。解除されることがない限り、賃料の発生、有益費・必要費の負担など、権利と義務が発生します。
法的リスクと対策
転貸借契約にはいくつかの法的リスクが伴いますが、適切な対策を講じることでこれらのリスクを軽減することができます。
賃貸借契約の詳細確認:
原賃貸借契約において、転貸借が許可されているか、またその条件がどのように定められているかを詳細に確認することが重要です。
使用承諾書の取得:
所有者からの使用承諾書を取得することで、転貸借の正当性を高め、法的リスクを軽減することができます。
行政面の専門家の助言:
入管専門の行政書士などから助言を得ることで、行政面の契約の適法性やリスクについての理解を深めることができます。
使用承諾書が申請に必須かどうか
入管への申請において、在留資格に違いがあれど、必須の添付資料になるかどうかの観点が必要です。
以下、「経営・管理」と「技術・人文知識・国際業務」における代表的な例を解説します。
「経営・管理」の在留資格における有利・不利
「経営・管理」の申請で、事業所確保という要件において、転貸借契約書を提出している場合、使用承諾書がないことは本来、瑕疵になりません。しかし賃貸借契約における転貸借が違反でなく安定性が高いかどうかの観点で、有利な立証資料となります。
例えば、「経営・管理」の申請人である社長などの個人が賃借人である場合、使用承諾書を添付していないと追加資料として求められることはあります。これによって審査が長引くこともあります。
一方で、賃借人が別の人で使用承諾書がない場合、例え、その会社の従業員であろうと、それは不利になります。場合によっては、致命的とされ、不許可もありえます。なぜなら、「事業所の確保」は「経営・管理」において法令要件だからです(上陸基準省令「経営・管理」の項)。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格における有利・不利
「技術・人文知識・国際業務」の活動の安定性などの観点で、使用承諾書が不足していることが申請において必須とはならず、あまり致命的にはなりません。
ただし、審査に疑義が生じ、遅れることはあります。現在はリモートワーク・テレワークでも許可事例がありますが、事業所の存在自体が不明又は自宅である場合は、相当の立証がないと不許可リスクとなることは変わりません。
使用承諾書取得のメリット
以上の在留資格ごとの比較のように、その要件と事実の関係によって判断が必要です。必須でなくても不利になるケースがあります。したがって使用承諾書を取得できる場合、民事でも行政でも有利に働くため、取得すべきです。使用承諾書を取得することには以下のメリットがあります。
法的安定性の確保:
使用承諾書を取得することで、事業所の使用に関する法的安定性が確保されます。これにより、事業運営がスムーズに進む可能性が高まります。
申請時の信頼性向上:
上記の在留資格によっては、入管への申請時に、使用承諾書を添付することで、申請内容の信頼性が向上し、審査がスムーズに進む可能性があります。
リスクの軽減:
使用承諾書を取得しておくことで、後々のトラブルや法的リスクを軽減することができます。
会社名義でない事業所について、個人と会社との契約の必要性
個人が賃借人として原契約で借りていた事業所・事務所を法人に転貸借する場合、貸主は当該個人となります。法人が事業所として使用するには、個人との間で転貸借契約を結ぶ必要があります。これにより、法人は事業所の要件を満たすことができます。
具体的な手続きとポイント
会社名義でない事業所を法人が使用する場合には、以下の手続きを踏むことが重要です。
転貸借契約の締結:
個人と法人の間で転貸借契約を締結し、契約内容を明確に定めることが必要です。
貸主の承諾取得:
原賃貸借契約の貸主から転貸借に関する承諾を得ることが重要です。これにより、契約の合法性と安定性が確保されます。
事業所の適法性確認:
事業所が法的に適法であり、事業運営に支障がないことを確認するために、専門家の助言を受けることを推奨します。
まとめ
入管への在留申請において、転貸借事務所が事業所要件を満たすかどうかについては、転貸借契約の存在自体は法的に有効であり、使用承諾書があればより有利に申請を進めることができます。したがって、可能な限り使用承諾書を取得し、法人と個人の間で適切な転貸借契約を結ぶことが重要です。また、専門家の助言を受けることで、適法性の確認やリスクの軽減を図ることができます。これにより、在留申請の成功確率を高めることができるでしょう。
この点、専門家として谷島行政書士法人グループはあらゆる在留資格について15年以上取り組んでおります。「経営・管理」の事業所要件や、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」における事業所の状況で不安があればご相談ください。