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「育成就労」とは?技能実習廃止と特定技能改正を伴う外国人雇用の新制度

前提:2023.11.24有識者会議による最終報告の時点の文書に基づいております。

回答:

「育成就労」とは、技能実習制度の発展的解消により、新たに作られる就労ビザ(在留資格)です。

つまり育成就労は、就労資格の一つであり、今まで、現場系外国人が就労できる主な在留資格は次の二通りでした。

1. 技能実習

2. 特定技能

上記の技能実習制度は、問題を多くはらんでおり、国際的な非難と現実の労働力であることと国際貢献の建前において、見直しすることが決まりました。その結果、廃止の方向性が決まり、技能実習に代わる新制度として「育成就労」が新たな在留資格制度として設計され発表されました。

育成就労制度の基本的考え

そのビジョンは、「国際的にも理解が得られ、日本が外国人材に選ばれる国になるよう」な視点が見直しの重点とされました。それらは次の通りです。

1. 外国人の人権保護

初めて、育成就労で外国人の人権という言葉が明示されました。今までは外国人の人権について、日本人と同じように直接的に認めることは難しく、法務大臣の裁量の範囲とされておりました。

(有名なマクリーン事件では、法務大臣の「判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものとして違法」となる場合は明白な合理性を欠くなど限られております。)

このビジョンで、今後、外国人の労働者としての権利性を高め、国家として人権を保護すべきという視点が認められます。ちなみに、先進国でこのような考えはグローバルスタンダードです。

 

2. 外国人のキャリアアップ

育成に関して、可能であることを主眼とした制度になります。この点、現状は、「使い捨て労働」のような実態をつくる企業もいたため、今後は育成させることで、「特定技能」に連結させる視点が認められます。

 

3. 安心安全・共生社会

a. 外国人が日本社会の一員となる安全安心な社会。

  1. 様々な人が能力を発揮できる多様性に富んだ活力がある社会。
  2. 外国人を含め、全ての人が差別や偏見なく暮らすことができる社会。

提言の概要

1. 育成就労の位置づけ

現行の技能実習制度は発展的に解消され、人材確保が可能な制度となる。

特定技能1号の水準まで人材育成する制度

雇用期間:3年

 

さらに、現行の企業単独型の技能実習のように、国際的な企業が1年以内の短期の育成を行う場合は、「企業内転勤」などの該当性を検討、またはそのような既存の在留資格を拡大する方向が相当で、別制度として受け入れ可能なように検討されています。

 

2. 受入対象分野

技能実習制度の分野の一部は存続しない。

すなわち、特定技能の産業分野(特定産業分野)に限定される。したがって、今後は特定技能で存在しない分野は原則、受入ができなくなります。

例:縫製

段ボール製造

一方で、技能実習の移行職種に存在せず、特定技能に存在する分野は、育成就労が可能となります。

 

簡易比較表

技能実習(移行職種) 特定技能 育成就労
建設 一定の作業 〇:すべて 〇:すべて
製造業 一定の作業(段ボール製造なども可能) 素形材等3分野のみ 素形材等3分野のみ
外食 ×(施設等の給食のみ可)
縫製 可能 × ×

 

また、特定技能の派遣は次の分野が可能となっている。

1. 農業

2. 漁業

 

このような派遣可能な分野は、育成就労においても分野の限定等を慎重に行い、検討するとされております。

つまり、従来の技能実習では存在しなかった、派遣による育成就労の可能性が出てきております。

 

3. 受入見込数

特定技能と同様に、受入対象分野ごとに受入見込み数を上限設定されます。

 

この点、特定技能は、上限に達しても、日本在留者が行う在留資格変更申請は可能です。

 

しかし、育成就労は、基本的に外国から在留資格認定証明書交付申請を行うことが通常となるため、上限数が実際の制限となります。

 

4. 育成就労での転籍

従来は、「やむを得ない場合」の転籍が存在していたが、これを拡大します。

 

a.「やむを得ない事情がある場合」

想定例は次の通りです。

1. 労働条件に、契約時と実態で一定の相違がある場合

2. 職場における暴力、ハラスメントがある場合

 

b. 本人意向による転籍

– 同一業務区分

本人意向による転籍も可能となります。この場合、同一業務区分のみとなります。

ア、同一の受入機関において就労した期間が1年超であること

ただし、当面の経過措置で2年などの設定がされる可能性があります。

イ、技能検定基礎級等および日本語能力検定A1相当以上の試験(N5等)に合格していること。

ただし、これは最低限として、各分野ごとに高い水準に設定される可能性があります。

ウ、転籍先となる受入機関の要件の想定例は次の通りです。

1. 転籍外国人が一定割合以下

2. あっせん・仲介状況等を確認できるようにしていること

3. その他適切であること

 

– 本人意向転籍の場合の費用負担

当初の受入機関が負担した費用を、転籍先にも負担を分担させられるように措置をとること

 

 

5. 監理・支援・保護

新たな機構

技能実習機構を新たな機構として、育成就労と特定技能の双方に関与し、体制を強化する。

労働基準監督署のみならず、地方入管との連携の強化によって、不適切な受入機関に厳格に対応するとされております。

そのために、「支援調整担当」や法律専門家などの設置が検討されます。

 

監理団体の新たな許可

さらに、監理団体について、新たな許可を必要とし、新たな要件に基づく厳格な審査によって許可を判断するとされます。

 

新たな許可の要件:外部者による監視強化

独立性と中立性のために、行政書士、弁護士、社会保険労務士等の資格者の選任義務付けなども検討される。

 

新たな許可の要件:その他

受入機関等の数に応じた職員配置、財政、外国語相談対応体制等の要件が検討されています。

 

前職要件などの廃止

過去の実務経験に係る要件は廃止されます。その他国際貢献目的に由来する要件は撤廃するとされております。

 

 

6. 特定技能の改正提言

育成就労から特定技能1号への移行(変更等)

1. 技能検定試験:3級以上等

or 特定技能1号評価試験

2. 日本語能力A2相当(N4)以上

 

上記1および2の合格が必要

但し、当分の間、認定日本語教育機関等における相当の講習を受講することで、その要件を満たすものとされます。

 

認定日本語教育機関等とは、新たな法律である「日本語教育機関認定法」により日本語教育を適正に行う認定を得た教育機関が想定されます。日本語教員の登録制度なども含まれます(令和6年4月施行予定)。

引用元:文部科学省、 https://www.mext.go.jp/a_menu/hyouka/kekka/1421037_00012.htm

 

育成就労を経ない特定技能1号の在留資格の取得

従前どおり、次の通りです。

1. 特定技能1号評価試験

2. 日本語能力A2相当(N4)以上

 

再受験制度の創設

不合格の場合、最長1年の在留継続のための制度策定がされます。

 

登録支援機関の改正

1.登録支援機関の登録要件:

受入機関等の数に応じた職員配置の要件などにより、厳格化されます。

これは更新の時に、厳格な要件を適用される検討がされております。したがって、更新までに、新たな要件に対応できないと不許可になることが想定されます。

 

2.新たな義務:

キャリア形成支援によって特定技能2号を目指すことの支援を行う。

 

特定技能2号の改正提言

従前の2号試験合格に加える検討がされます。そうすると、次の通りです。

1. 特定技能2号評価試験

2. 日本語能力B1相当(N3)以上

 

7. 国・自治体の役割

a. 新たな機構やハローワークなどは転籍支援を行います。

ただし、転籍支援は監理団体などが主要な対応をおこなう想定がされております。

 

b. 引き抜き防止措置、その他業務所管省庁によるガイドラインや、有料受入機関等に対する優遇措置

 

8. 送出機関及び送出しの在り方

特定技能のようにMOCを新たに作成し、政府間で取り決めを行う予定とされております。

また、受入機関等の公表を行い、送出機関が直接受入機関等を確認できる仕組みが検討されています。

 

9. 日本語能力の向上方策

就労開始前に日本語能力A1相当(N5)以上の合格

又は入国直後の認定日本語教育機関等における相当の日本語講習の受講

 

結論

年々増加する技能実習生は、もはや日本にとってなくてはならない労働力になってきた実態がありました。多くの方はご存じないかもしれませんが、スーパーマーケットに並ぶ生鮮食品や飲食料品も、技能実習生無しで我々は食べることができません。建設現場も人手不足で、技能実習の外国人がいないと成り立たなかったことも同様で、特定技能だけではいまだ解決されておりません。

 

一方で、転籍の制限など社会的な問題がありました。また監理団体のキックバックによる借金により失踪が多くなるという問題も潜んでいます。それらに対して「育成就労」が、解決策となることが期待されます。

 

弊社グループも、SDGsのみならず、外国人の人権を初めて謳ったこの制度に期待し、クライアント企業様の受け入れをサポートすべく、行政書士法人グループとして、「外国人雇用ワンストップ」を実現いたします。

外国人雇用のすべてを解決できるように、尽力させていただきます。何かあればお気軽にお問い合わせください。

 

参考・引用元:法務省、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議、

https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/03_00005.html及びhttps://www.moj.go.jp/isa/content/001406716.pdf

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